副代表 中島 純さんのコラム
年4回、会員向けにニュースレターを作成しています。毎回、中島 純さんのコラムを掲載。ブログでも紹介致します。
赤ちゃんの写真
副代表 中島 純
そこつ者のわたしは最低でも年に一度は財布を失くす。おおかた、車の中や書斎、ソファーの隙間から数日のうちに発見されるのであるが、過去にはそのまま帰還しなかったものも数知れず。いくど悔し涙を飲んだことか。
最近読んだ、リチャード・ワイズマン著『その科学が成功を決める』(文藝春秋)に、興味ぶかい心理学の実験が紹介されていた。
数百個もの財布を通行人の多い通りに置き、持ち去られることなく戻る割合を調べたところ、財布にあるものの写真を入れておくと、確率がかなり高くなるというのだ。
さて、ここでクェスチョン、次の①~③で、もっとも戻る割合が高いのはどれか。
① 老夫婦
② かわいい子犬
③ しあわせな家族の写真
④ 笑っている赤ちゃんの写真
正解は、④。なんと35パーセント。ちなみに、①は11パーセント、②は19パーセント、③は21パーセントであった。
ワイズマン博士によれば、人間は赤ちゃんの写真をわずか7分の1秒目に入れるだけで、目の後ろにある脳の部位が反応し、大きなチョコレートをもらったり、宝くじが当たったときと同じ情動がはたらくという。それは、人類が種の存続のために何万年もかけて培ってきた脳内メカニズムである。
もちろん個人差はあるだろうが、子どもの愛らしさは人の心をしあわせにする。子育てが、もともと社会協同のいとなみであることの根底には、幼い子ども特有のチカラがあるのではないだろうか。
このたび、育ちの森発行の『Cocokara』がカラー刷りになった。手にする人たちに、しあわせな気持ちがいっそう広がっていくといいな、と思う。